ごあいさつ

親鸞聖人のみ教えをあおぎ、南無阿弥陀仏のお念仏のおいわれを聞き、いのちのありようを見つめさせていただきます。

それは、仏さまにお願いごとをしたり、不確かなものに頼る生き方ではありません。物事の道理をみつめ我欲に気づき、広い視座からとらわれている私たち自身のありように気づかせていただきます。

ひとつひとつのご縁を大切に、いのちのよろこびや苦しみに寄り添ってまいります。

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歴史

栄松山 浄蓮院 養泉寺は、江戸時代の初期、正保元年(1644年)に、那珂川町小川の常圓寺第七世住職の弟 偏阿師が当地に移り創建されました。

当時、北陸や越後から関東に移住する人々が多くいました。災害や凶作、飢饉などが起こり平野と太陽の光を求めて、また かつて親鸞聖人が関東の地へ御教えを広められた足跡をたどるように、浄土真宗の門信徒も移住してきました。(親鸞聖人はお念仏弾圧により京都から越後に流罪になり、流罪が解かれた後、関東に移り御教えを広められました。)
喜連川や氏家に移住してきた真宗信徒も多く、その方々が浄土真宗の寺院がないこの地に真宗寺院の建立を懇願し創建の力となったと伝えられています。

「もっこで運ぶ養泉寺」
喜連川にはこのような川柳のような言葉が残されています。もっことは、縄で編んだ網の上に土砂や石を入れて運ぶ運搬道具です。養泉寺が身寄りのないご遺体の引き受け寺としてあった様子が詠まれています。
江戸時代、喜連川は喜連川氏の城下町であり喜連川宿としても栄えていて、多くの旅人や行商人が行き交っていました。そのような中、故郷を離れこの地で亡くなった人や行き倒れた身寄りのない人の多くは、この養泉寺に運ばれ、多くの無縁墓がありました。
今境内にある塚のように盛り上がった無縁墓は、境内墓内に点在していた無縁墓を一箇所に集め、中央に「南無阿弥陀仏」の名号碑を置いたものです。阿弥陀様はその人の肩書きや能力、貧富や貴賎を問わず、漏れるものなく悟りのお浄土に摂めとってくださいます。真ん中の「南無阿弥陀仏」のお救いのお呼び声が、なんともありがたく心強いことです。

本堂の南側には、正受院の墓碑があります。
正受院は喜連川城第8代城主 恵氏(やすうじ)の三男・氏敏(うじとし)の法名です。
氏敏は、狩りに出て誤って人を撃ち殺してしまいます。心痛め苦しんだ氏敏は、その後京都 西本願寺にて修行・得度し、出家後は住まいを喜連川神社近くにかまえて、毎日養泉寺に日参しました。氏敏の娘・鶴子は、茨城県稲田の西念寺(親鸞聖人が教行信証を書かれた寺)に二十二世住職の妻として嫁いでいます。

養泉寺の本堂をお参りいただくと、ご本尊の阿弥陀様が黒いことに気づかれるかと思います。
養泉寺は明治時代に二度の類火(もらい火)により本堂を焼失しますが、門信徒の皆さまのご尽力により明治44年に現本堂を再建しました。養泉寺のご本尊・阿弥陀さまが黒いのは、そのときに燃えさかる炎から守るために、まわりの田んぼにいったんしずめたからです。炎がおさまり、すくい出した阿弥陀さまは黒ずんでいました。しかし、江戸時代からこの養泉寺で見守り導いてくださり、二度の火災ものりこえてこられた阿弥陀さまです。当時の方々で話し合い、新しいご本尊をお迎えすることはせずに、このままこの阿弥陀様に手を合わせ導いていただこうということになりました。そのような歴史をくぐり抜けてきたご本尊です。
養泉寺の阿弥陀様は歴代の門信徒の思いを受けつぎ、今も黒いお姿で私たちを見守ってくださっています。

創建から現代まで、時代や世相は移り変わっても、それぞれの時代にお念仏と養泉寺にご縁をつむいでこられた方々が、それぞれに力一杯支えてこられたからこそ、今この地に養泉寺があります。まことに頭の下がる思いです。

2014年には、境内墓地内に、永代合葬廟「やすらぎ」が建碑されました。
家のお墓を継承することができない、お墓を持つことを選択しない、という方々がご相談に来られ、ご親族で相談の上安心して納骨しておられます。
世相にあわせ、人々の不安を聞き心穏やかに過ごしていただく、その一助となるお寺でありたいと思っています。

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正受院の掛け軸とお墓

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ご本尊

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浄土真宗のお寺は阿弥陀如来をご本尊としています。

阿弥陀さまは私たちを、そのままに受け入れ、慈しみ、見守り、導いてくださる仏さまです。

養泉寺のご本尊は、明治時代の二度のもらい火(類焼)を経て黒い阿弥陀様です。江戸時代からずっと養泉寺の門信徒を見守り導いてきてくださっています。
浄土真宗の御本尊は、立ち姿の阿弥陀様です。横から見ると、少し前に傾いて前傾姿勢になっっています。これは救いのお姿をあらわしています。私たち衆生を救おうと立ち上がり前のめりになって、前に踏み出そうとなさってくださっているお姿です。苦しむ衆生を放ってはおけないと、今にも救いの一歩を踏み出そうとなさってくださっている尊い阿弥陀様です。

浄土真宗本願寺派

阿弥陀さまの智慧と慈悲をいただいて、念仏申す人生を歩み、この世の縁尽きたとき浄土にかえり、仏さまとならせていただきます。つねにわが身をふりかえり、ご恩報謝の思いから 自他ともに心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献します。

また深く因果の道理をわきまえて、いのちのありようをみつめ、思い通りにならないわが身をひきうけていくなかに、現世祈祷やまじないなどに頼る必要のない私であると明らかにされます。

寺院概要

寺院名称 浄土真宗 本願寺派 養泉寺
所在地 〒329-1412 栃木県さくら市喜連川4221
TEL 028-686-3188
FAX 028-686-3184
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